現役をリタイアした後で参加している所属する射撃クラブの遠征射撃大会で、福島県にある矢祭射撃場に出かけた。現役時代は平日に開催されるホームグランドの筑波射撃場から、気分を変えて行われる遠征射撃大会に参加することは時間的に難しかった。

 やっと参加できる環境になったので、毎回参加させてもらっているが、通称「オジサンたちの修学旅行」と呼ばれるように、射撃大会の参加よりも同じ趣味を持った人達の旅行のイメージが強い。特にマイナースポーツのクレー射撃は、同胞が少ないので貴重な機会で、今流にいえば「オフ会」といった感じになる。

 矢祭射撃場は、山に向かって射撃可能なバックストップの無い射撃場となっている。古峰ヶ原射撃場もバックストップが無いが、クレーの放出口の前に平地がありトラップ射撃の目線を置く場所には目標がある。しかし、矢祭射撃場は放出口そのものが崖に面しているので、何処に視線を置くかが初めてだと難しい。

放出口は崖に設置

放出口の先は谷

 撃破点は、射手によって異なるが、早めに皿(クレー)を取る人も、やや飛ばしてから取る人も撃破点はも谷の上になるため水平が判らず、通常の射撃場とは異なるため不思議な感覚になる。また、谷から吹き上げる風が吹くと皿が不規則に軌道を描くため非常に狙いにくい。 日本の射撃場の中で皿が下からの風の影響を受ける場所は滅多にないと思う。

視線をどこに置くかが鍵

左右邪魔なものが無く谷は見えない

 自然も豊かで、山に囲まれているため銃の発射音がこだまし、ドラマの効果音の様な銃声となる。イヤーマフをしていてもドラマの中での銃声と同じような感じで撃てるのは、ちょっと非日常で楽しかった。

 矢祭町は茨城県と接しているため、帰路にリンゴを買って帰るのが定番となっている。大子町の名産であるリンゴの「高徳」(こうとく)は、市場にあまり出回らないので、現地のリンゴ園で購入することになる。所属する射撃クラブは観光農園ではない街道から外れたリンゴ園で例年購入しており、今回も、トランクが沈む程の大量のリンゴを買い込んで帰宅した。

 これで、今年の遠征射撃大会は最後になる。